映画『国宝』感想|2025年上半期を代表する傑作邦画!圧巻の歌舞伎演技と心揺さぶるドラマに魅了される175分

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先月、映画『国宝』を観てきました!

近年の邦画でも圧倒的に面白い傑作!
ストーリー展開がエンタメとして素直に楽しめたし、俳優陣の渾身の演技も見事!

さらに歌舞伎の演技シーンは自然と見入ってしまう魅力が凄まじいなど、約3時間の長尺が全然気になりませんでした!

鑑賞前は正直、上映時間の長さや自分が歌舞伎に詳しくなかったこともあり、ちょっと腰が重いな……と思う気持ちもありましたが僕が間違ってました!もっと早く観れば良かったと思うくらい。

この記事では『国宝』の感想を書いていきます。
ラストの詳細なネタバレ等は避けますが一部本編内容に触れている箇所があります。
気になる方は注意!

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『国宝』概要

公式サイト

『国宝』は吉田修一による同名長編小説が原作で、2025年6月6日より公開。
任侠の家に生まれながらも、歌舞伎役者の家に引き取られた主人公「喜久雄」の芸の道に人生を捧げた50年を描く物語。

監督は『悪人』『怒り』『流浪の月』などを手掛けた李相日が担当、脚本は『サマーウォーズ』ドラマ『最愛』などが代表作の奥寺佐渡子が担当しております。

キャストは吉沢亮、横浜流星、渡辺謙らをはじめ、高畑充希・寺島しのぶ・森七菜・田中泯ら実力派が集結。

ストーリー

後に国の宝となる男は、任侠の一門に生まれた。

この世ならざる美しい顔をもつ喜久雄は、抗争によって父を亡くした後、
上方歌舞伎の名門の当主・花井半二郎に引き取られ、歌舞伎の世界へ飛び込む。

そこで、半二郎の実の息子として、生まれながらに将来を約束された御曹司・俊介と出会う。

正反対の血筋を受け継ぎ、生い立ちも才能も異なる二人。

ライバルとして互いに高め合い、芸に青春をささげていくのだが、多くの出会いと別れが、運命の歯車を大きく狂わせてゆく…。

誰も見たことのない禁断の「歌舞伎」の世界。

血筋と才能、歓喜と絶望、信頼と裏切り。

もがき苦しむ壮絶な人生の先にある“感涙”と“熱狂”。

何のために芸の世界にしがみつき、激動の時代を生きながら、世界でただ一人の存在“国宝”へと駆けあがるのか?

圧巻のクライマックスが、観る者全ての魂を震わせる―― 。

公式サイトより
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感想

3時間、集中しっぱなしで圧倒された作品でした……!

幼少期から少年時代、成人後まで2人の歌舞伎役者の人生をじっくりと描くドラマで見ごたえ十分。

才能や血筋、嫉妬といった普遍的なテーマがエンタメとして面白く、鑑賞前に想像していたより入り込みやすかったです。

タイトルやポスターの厳かな印象から「敷居の高い作品かも……」と身構えていた部分もありましたが、幅広い層が楽しめるストレートな面白さがありました。

冒頭から衝撃のスタート!
仁侠の家に生まれた少年「喜久雄」が、突如抗争で父親を失くすというショッキングな展開で幕を開けてびっくり。

事前情報をほぼ入れずに鑑賞したので、「『国宝』というタイトルでいきなり任侠ものが始まった!?」って思いました。
でも、鑑賞後に振り返ると味わい深くなりますね。

それから、喜久雄は歌舞伎の名門の当主「花井半二郎」に才能を見込まれ引き取られ、同じ家に暮らす半二郎の息子「俊介」と出会うという流れ。

初めは距離感があった喜久雄と俊介が、一緒に稽古を重ねるにつれ友情が育まれていき、よき友人でライバルとなって、互いに若き歌舞伎役者として評価されていくのは好きな展開!

ショッキングな出来事から始まる序盤だったこともあり、喜久雄に大切な友人ができたことは嬉しかったし、役者となって2人が世間で人気になっていく姿も幸せな瞬間で暖かい気持ちに。
こういう関係性好きですね~!

しかしやがて、喜久雄の芸の才能が開花していき、俊介との間に圧倒的な才能の差が見えてしまうのが切ない。決して俊介に才能がないわけではないんだけど、喜久雄が圧倒的すぎるゆえに……。

僕が特に印象に残ったシーンの1つは、急遽出演できなくなった半二郎の代役として喜久雄が「曾根崎心中」に出演することになったときの舞台裏のシーン。

半二郎の代役という大役を務めるプレッシャーに震える喜久雄の演技が感極まっていてすごかった……!

そこに訪れた俊介にありのままの心情を吐露する喜久雄の姿にも、代役に選ばれず複雑な心境を抱えながらも喜久雄のために声をかける俊介の姿も印象的。
鑑賞していて、言葉で表せない感情の昂りを感じる瞬間でした。

その後の「曾根崎心中」の演技も圧巻だし、打ちのめされる俊介の姿も切ない。
俊介も悪い人じゃなく、むしろ努力を積み重ねた人だからこそ葛藤して苦しむ姿に「うわああ!」って胸を締め付けられる。

血筋が重視される歌舞伎の世界のなかで、才能を武器に成り上がろうとする喜久雄。
栄光と苦難、出会いと別れを繰り返し、時にもがき苦しみ落ちぶれていくシーンもあり。強烈に感情が揺さぶられまくりのストーリーでした。

芸に対して破滅的なまでに傾倒する喜久雄と、坊ちゃん気質があるけど自らの生まれに改めて向き合う俊介。
2人の生き方にどこか血筋を感じてしまう瞬間があり、因縁めいたものを感じて興味深かったです。

そして作中で登場する歌舞伎のシーンも圧巻!

作中劇でサッと描写するのではなく、しっかりと演技を見せつける構成や見せ方になっており、制作陣の本気度を強く感じましたね。

歌舞伎に詳しくなくても、思わずスクリーンに釘付けになる俳優陣の圧巻の演技力には脱帽。
特に主演の吉沢亮さんは半端なかったです。「今までに歌舞伎を演じたことがあるんですか!?」と思うくらい動きや表情、セリフも魅せる演技になっていて釘付けでした。

横浜流星さんも良かった!吉沢亮さんに負けず劣らずの見事な演技。
しかも、2人とも顔立ちが美しいこともあって、女形が非常に魅力的。

今作は表情を間近から映したカットが多くあるんですが、ビジュアルが良すぎるから画面が持つ!物語やキャラクターへの説得力にも繋がっていたと思います。

特に印象に残った演目は「曾根崎心中」!
「曾根崎心中」は名前や簡単な概要程度は聞いたことはありましたが、こういう流れの話だったんだと興味深かったし、なにより演技がすごい。今作を見た人の多くは忘れられないであろう名場面だと思います。

練習中に何度も指摘されたときの演技と、本番で見せる息をのむような演技の違いがちゃんと伝わってきて、卓越した演技力を実感。映像と音の迫力もあるので劇場で体感するのはおすすめです。

演目もストーリーの展開と連動している部分があると思うので、鑑賞後に演目の内容を調べて解釈を考えるのも味わい深い。

脇を固める俳優陣も見事で、半二郎を演じた「渡辺謙」さんや、人間国宝の小野川万菊を演じた「田中泯」さんなど、それぞれが演技力も存在感も半端なかったです。
ほんの短い登場でも鮮烈な印象を残す登場人物が多く、俳優陣の演技は素晴らしかったですね。

一部気になったのは、展開に多少ダイジェスト感を感じた場面はありました。

ストーリーが長いから仕方ないとはいえ、「あの人、結局その後どうなったんだろう」みたいな展開もありました。ただ、全体の流れを阻害するほどではなく、むしろ3時間でよくこれだけ壮大な物語をまとめられたなと感心!

波乱万丈な出来事を経験する喜久雄の姿が幼少期からずっと描かれており、幸せに見える瞬間もあれば厳しい現実に直面するキツイシーンもあり。
ラストまで観ると「人生だなあ……」としみじみします。

最後のシーンは不思議と穏やかな気持ちになり、胸が震えるような余韻に浸りながら、スタッフロールを呆然と眺めていました。

エンターテイメント作品としても面白いし、歌舞伎を知らない人でも自然と魅力を体感できるパワーのある作品でした。2025年の上半期を代表する一本!

原作小説もボリューミーで濃厚な内容らしいので、小説の方も読んでみたい!

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