Netflixで配信が始まるやいなや話題になり、今なお感想やファンアートが盛んに投稿され、劇場公開も決定するなど、勢いの衰えない映画『超かぐや姫!』。
僕も配信開始から一週間ほど経ったタイミングで視聴しましたが……これがもう、とんでもなく大好きな作品でした!
ニコニコ動画やボカロ、VTuber。平成~令和ネットカルチャーをリアルタイムで細々と眺めてきた身としては、画面の端々に「大好き!」が詰まりすぎていて感無量。この映画を作ってくれてありがとう……!感謝の念が溢れ出して止まりません。
竹取物語をモチーフとしながら、「少女二人が仮想空間でライバー活動を行う」という奇抜な設定。圧巻の作画で描かれるライブやバトルシーンの熱量。そして主人公・彩葉(いろは)とかぐやの尊すぎる関係性。魅了されるポイントばかりの傑作でした!
この記事では、『超かぐや姫!』の感想を書いていきます。
※物語の内容に触れる箇所があります。核心的なネタバレは避けていますが、気になる方はご注意ください。
映画『超かぐや姫!』とは
『超かぐや姫!』は、現存する日本の最古の物語と呼ばれる「竹取物語」をモチーフに、現代のインターネットカルチャーを掛け合わせたSFアニメーション映画。
Netflix独占配信タイトルです。
都内の進学校に通う女子高生・酒寄彩葉(さかより いろは)と、月から来たと語る謎の少女・かぐや。2人の少女が仮想空間「ツクヨミ」を舞台にライバー活動を始め、活動を通じてお互いに打ち解けあっていくが、やがてかぐやを月へ連れ戻そうとする影が迫ってきて……というストーリー。
監督を務めるのは、『呪術廻戦』や『チェンソーマン』などでオープニング映像演出を手掛けてきた山下清吾。今作が初の長編監督作品になります。
アニメーション制作は、スタジオコロリドとスタジオクロマトのタッグにより制作。
また、主題歌を含む劇中歌には、ryo (supercell)、kz(livetune)、40mP、HoneyWorks、Aqu3ra、yuigotの豪華ボカロPが集結し、物語を彩ります。
声優陣は、夏吉ゆうこ、永瀬アンナ、早見沙織ら、旬の声優から実力派まで幅広く出演しています。
感想(詳細なネタバレなし)
想像以上にコミカルで楽しい!古典設定を活かした遊び心溢れる物語
視聴前に想像していた以上にとても楽しい作品でした!
とにかくコミカルでテンポ良く、序盤から一気に物語のペースに巻き込まれます!
主人公の彩葉とかぐやを中心に、キャラ同士の掛け合いも最高。ツクヨミの管理人にしてトップライバーのAI「ヤチヨ」との交流や、プロゲーマー集団「ブラックオニキス」との白熱のゲーム対戦、彩葉の友人たちとの賑やかな日常など、会話のテンポが小気味よく、素直に楽しいシーンが満載でした。
表情のデフォルメ演出も多彩!クルクルと表情を変える彩葉やかぐやの姿は活き活きしていて、見ていて全く飽きません。コミカルなシーンでは面白おかしく、シリアスなシーンでは憂いを帯びた表情を見せる……。キャラの心情がダイレクトに伝わってきて感情移入できました。
声優陣の演技もかなりハマっていて、より没入できました。
ストーリーで面白いと思ったのが、誰もが知る「竹取物語」の要素を現代的なユーモアで表現したり、ストーリー展開へ上手く落とし込んでいたところ。
冒頭の「ゲーミング電柱から赤ちゃんが現れる」というインパクト抜群の場面も、一見ネタ全開のようでいてコミカルかつシュールだけど、「現代舞台で竹取物語をやるならそうなるかも……!?」と思わされる遊び心が好きでしたね。
古典の持つ神秘性と現代のネット文脈を掛け合わせていたような感じ。
他にも、かぐやが爆速で成長する様子や、かぐや姫への求婚をモチーフにした展開、「月へ帰る」という宿命など、古典でお馴染みの要素が随所に散りばめられています。
こうしたキャッチーなフックのおかげで入り込みやすく、難しい理屈抜きに純粋に作品の世界に浸ることができました。
一度観ただけでは気づかないような細かな小ネタなども多く、見返すとさらに味が増します!サラッと見ても楽しく、じっくり味わえばさらに趣深い。一度で二度美味しい作品です!
平成~令和のネット文化の要素が散りばめられているのも感慨深い!
ボカロやライブ配信、オンライン対戦といった平成~令和のネットカルチャー要素が豊富に盛り込まれていたのも、個人的には世代直撃で感慨深い!
単なるおまけ要素ではなく、物語の重要な要素の1つとして「ライブ」や「バトル」が描かれているのが嬉しい。特に、彩葉とかぐやがライバー活動を始めるあたりから、ストーリーの勢いも増してきたように感じました。
また、今作の舞台となる仮想空間「ツキヨミ」のビジュアルも綺麗で必見!
和風テイストのバーチャル世界で、アバター姿のユーザーが思い思いの恰好で賑わう雰囲気がお祭り気分!
進化した「VR Chat」のようでもあり、他作品だと『サマーウォーズ』の「OZ」を彷彿とさせるようなワクワク感もあり、ちょっと先の未来を感じさせる空間演出に心が躍りました。
楽曲面では、ryoさんを筆頭としてボーカロイドシーンを牽引してきたレジェンドボカロPたちの楽曲が随所に使われているのも胸熱!
懐かしの曲のアレンジから新曲まで、新鮮さと聞きなじみが同居する音楽面も大きな魅力でした。
僕的には「ハッピーシンセサイザ」がBGMで流れるシーンは、なぜか感極まりましたね……!
日常模様を描いていて好きなシーンなんですが、それと同時にノスタルジックな気持ちも湧いてきてエモくなる。
自分が当時「ハッピーシンセサイザ」を聴いていた記憶と、今こうしてクオリティの高い最新アニメでその曲が流れているという現在が入り混じって感涙。
視聴後に「ハッピーシンセサイザ」の投稿日を調べたら2010年で別の意味でショック……!ワイが「ハッピーシンセサイザ」や「メランコリック」や「マトリョシカ」とかを聴いてウキウキしていた時代が16年前……!?
『超かぐや姫!』では、ネットの世界が全体的にポジティブに表現されているように感じました。それぞれのユーザーが好きなものを全力で楽しみ、推し、表現して盛り上がっている様子がハッピーな空気感。多幸感あふれている様子は、まさに光のインターネット!
創作物におけるネット描写は、炎上や誹謗中傷といったネガティブな面がフォーカスされがちなものも多いです。でも今作からは、あえて「みんなで一緒に表現して、楽しんで、盛り上がる場所」としてネット空間を積極的に表現したいというメッセージを感じました。
(個人的に思い出したのは、初めてニコニコ動画の弾幕コメントを見た時の、お祭りに参加したような気持ち)
互いにリスペクトし合い、みんなで楽しい空間を形成している様子が心地よく、「今の延長線上にあるネット文化がこんな感じになってたら良いな」と、期待を抱かせてくれる表現はとても印象に残りました。
アクションやライブシーンも素晴らしいクオリティ!
アクションシーンの作画もかなり力が入っていました!
事前情報をほぼ入れずに視聴したので、まさかバトルにもここまで気合が入っているとは思わず、初見時は「こんなに動くの!?」とびっくりしました。
ゲーム内での対戦シーンでは、3vs3のバトル形式で結構長い尺で見せてくれます。
ゲームシステムは、『APEX』とか『スプラトゥーン』とか様々なタイトルのエッセンスを感じ、この手のオンラインゲーをプレイしたり、配信で見たことがある人はなんとなくルールは伝わるはず。それに、具体的なルールは把握できなくても、アニメーションが凄いので雰囲気でも楽しめます。
縦横無尽にフィールドを駆け回りながら、彩葉たちがブラックオニキスと激闘を繰り広げる模様は手に汗握る迫力。圧倒的な格上に対して、どう対抗していくかという攻防を描きながら、彩葉自身の過去や成長を描く展開は見どころでした。
ブラックオニキスの面々も、さらにサイドストーリーを深堀したくなるくらい、魅力的なキャラでしたね。
そして、ライブシーンも素晴らしい!
作中に登場するライブの数々は、どれも楽曲のチョイスから演出まで最高で記憶に残る場面ばかり!
詳細は省きますが、心が湧きたつものから感動的なシーンまで、ビジュアルと楽曲の調和が見事でどれもリピートしたくなります。かぐやとヤチヨの歌唱も上手くて聴き入っちゃう。
個人的には、「ワールドイズマイン」が流れた時はテンション上がって情緒が乱れましたね!
現代風のオシャレなリミックスに、ライブ感のあるキュートなやりとり、オリジナル曲の動画を見たことがある人ならエモくなる小ネタなど、一度の視聴では味わいきれないほどの情報量!
制作陣やってくれたね……!大感謝です!!
青春時代にニコニコ動画を見て、毎週ボカラン(週刊VOCALOIDランキング)をチェックしていて時期があった僕としては、「ネットをずっと追いかけていて良かった……」という感動すら込み上げます。
他にもワールドイズマインの「世界で一番おひめさま」といった歌詞と、『超かぐや姫!』のストーリー・キャラの文脈が、想像以上にハマっていたのは興味深かったですね。
音響やステージ演出もライブさながらの臨場感があったので、音響設備の整った環境でも観てみたい!
エンディングで流れる音楽まで最高。色々な思い出が蘇って、ストーリー含めて気持ちいい余韻に包まれました。
彩葉とかぐやの関係が尊い!
そしてなんといっても、主人公・彩葉とかぐやの関係性が良い……!
最初は、無邪気で奔放なかぐやに振り回される彩葉というコミカルな関係。その後、2人でライバー活動を行い、様々な経験を積み重ねるなかで、その絆は特別で強固なものへと変わっていきます。
物語のベースはコメディですが、ふとした瞬間の話し方や距離感の変化が差し込まれて、テンポの良い展開の中で2人の関係の変化を見せてくれるのがたまりません。
特に、気を張って何でも1人で頑張って無理してきた彩葉が、かぐやに対しては心を許せるような関係になったんだなと思わされる過程にはジーンとしましたね。
尊いやり取りも数々登場しますが、僕のイチオシは彩葉がかぐやをお祭りに誘うシーン。
普段とのギャップがね……最高だよね……!
あとは作中で効果的に差し込まれる「手と手を合わせる描写」も2人の心の繋がりを表しているようで印象的でした。
ただ、今作は「かぐや姫」がモチーフということで「月からの迎えがくる」という展開もあります。逃れられない運命を前に、2人の感情が交差し、どう立ち向かうのか。そのシーンの描かれ方や巻末もドキドキする内容で目が離せませんでした。
ネタバレになるからここでは省きますが、友情の一言では片づけられない関係性は尊かったです。恋愛というよりも、もはや愛でしょう……!!BIG LOVE……
彩葉とかぐやの関係は、キュンとしたり、時には胸が苦しくなる時もあったりと、百合的な魅力をしっかり感じてめっちゃ刺さりました!
ストーリーもSFファンタジーとして楽しめましたし、序盤からの積み重ねが後半の感動に繋がる構成、繰り返し見て発見する要素などもあり、とても面白かったです!
「かぐや姫」ではなく、「超かぐや姫!」だから至ったラスト。気持ちのいいエンターテインメント作品でした。
なんなら、今作に登場するキャラ達の日常ストーリーをもっともっと見たい!
気になった点について
多少気になった点や好みが分かれるかもしれない点もいくつか挙げます。
・冒頭30分くらいは日常パート中心で、ストーリーがどこへ向かうのか少し掴みづらい印象はありました。もちろんその時間も楽しいのですが、個人的にエンジンがかかって本格的にストーリーにノれたのは中盤以降かな。
・中盤のゲーム内でのバトルシーンの尺はちょっと長めに感じました。見ごたえはありますが少し間延び感もあったから、個人的にはもう少しコンパクトに凝縮してくれた方が好み。
・重厚なヒューマンドラマとかネット上でのドロドロした人間関係を描くタイプの作品ではないので、もしそういうのを求めている人は少し肩透かしを食らうかもしれません。
・わりと勢いと力業で解決する場面はあります。冷静に振り返ると、あの子はハイスペックすぎるな……!
僕は気になりませんでしたが、都合が良すぎると感じる人はいるかも。
おわりに
以上が『超かぐや姫!』の感想です。
とにかく楽しかったし、好きもいっぱい詰まっていました!
コメディ、ネット文化、百合、バトル、ライブ、SF……これでもかと盛りだくさんな要素を詰め込んで、「竹取物語」という伝統的なモチーフで見事にエンターテインメントとしてまとめあげていて脱帽!
また、ネット文化の要素を随所に盛り込みながら、「ハッピーエンドを謳う作品」として仕上げたのは、今の時代にこそ強く印象に残るなと感じました。
多くの人が当たり前のようにSNSや動画サイト、オンラインゲームなどに触れられる現代。日々、どこかでネガティブな言葉やふるまい、大小さまざまな事件や対立を目にすることが珍しくなくなってしまいました。無邪気にネットの明るい部分や可能性を信じるのが難しくなってしまった今の時代に、ここまでポジティブに「みんなでワクワクするネット空間」を表現してくれたのは、凄く心に刺さりました。
自分が学生時代に初めてネットに触れた時に感じたワクワクした気持ちや、それをきっかけにもっとネットを見るようになったんだよな、という胸を躍らせたときの記憶を呼び起こしてくれました。
明るいエンタメ作品好きの方や平成ネット文化を駆け抜けてきた方、百合要素のある作品が好きな方など、本作のためにNetflixに加入する価値があるといえるほどおすすめです!
さらに、2月20日から1週間限定での劇場公開が決定!
ライブシーンやアクションのクオリティも高く、劇場で観たいと思っていたので大歓喜!
映画館の大スクリーンと音響でさらに魅力が増すと思うので、すでに履修済みの方も初めて見る方も絶好のチャンス!
公開館数の少なさや上映期間の短さで、鑑賞できるタイミングがあるか難しいところもありますが、僕もぜひ劇場でもう一度鑑賞したいと思います!
コメント