『アイドルマスターシャイニーカラーズ 第3章』感想|ドキュメンタリー風な演出が異色のアイドルアニメ。好きなシーンもあるけど、想像より人を選ぶ作品!

アニメ映画
引用元:公式本予告より
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映画館で『アイドルマスターシャイニーカラーズ 第3章』観てきました!

アイドルマスターシャイニーカラーズ(以下シャニマス)初のアニメ化。
来春のアニメ放送に先駆けての先行上映、第1章に第2章に引き続き鑑賞。舞台挨拶LV付きの回で観ました。

「こういうアプローチの話だったのか、なるほどな~」と思わされた内容でした。
想像していた展開と結構ギャップがあり、鑑賞前に自分が思っていた以上に人を選ぶ内容になっていて驚き。

ストレートに面白い作品ではないため、なかなか複雑な心境になるアニメで正直感想が難しい……!

単体のアニメとしては物足りなさはありつつも、好きなシーンはあるし、あえて独特なつくりに挑戦した点は面白いと思うしで、いろいろな感情が渦巻きました。

とはいえ、鑑賞したうえで色々と思いめぐらすのも価値あることだと思うので、面白い鑑賞体験ではありました。
(人には勧めにくいけどね!)

第1章、第2章の内容について触れるところはあるので気になる方はご注意ください

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概要

公式サイト

バンダイナムコエンターテインメントのアイドル育成シミュレーションゲーム『アイドルマスター シャイニーカラーズ』を基としたアニメ化作品。

2024年春よりテレビ放送予定、放送に先駆けて劇場で公開される3部作の第2章にあたります。
3章では9話~12話の内容を一挙に上映。

16歳の少女・櫻木真乃がプロデューサーとの出会いをきっかけに、芸能事務所・283 (つばさ)プロに入って仲間達と共にアイドルの世界への第一歩を踏み出していくって感じのストーリー。

監督はアニメ「アイドルマスター シンデレラガールズ劇場」映画「映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ」を手掛けたまんきゅうが担当。

シリーズ構成・脚本「劇場版アイカツ!」「アイドルマスター ミリオンライブ」の加藤陽一が担当。

声優陣はゲーム版と同様に関根瞳、近藤玲奈、峯田 茉優などが担当しています。

ストーリー

「16人のセンターを務めてほしい。」
プロデューサーからそう依頼された真乃。
灯織とめぐるは、どんな結論を出しても応援すると真乃を励ましてくれる。
その後、アンティーカと一緒にレコーディングの最終調整に臨んだイルミネーションスターズ。
新曲『ツバサグラビティ』の歌詞を噛みしめる真乃の心の中に浮かぶものは……。

公式サイトより
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感想(詳細なネタバレなし)

公式本予告より

※詳細なネタバレは避けていますが、一部内容に触れているので気になる方は注意!

こういう方向の話だったのか~!という驚きが大きかったです!

エンタメ作品というよりもドキュメンタリー作品的なテイストでストーリーが進み、予想していたものと違っていてギャップがあったのは正直な気持ち。

シャニマスのアイドル達を普通の女の子として捉え、普通の女の子たちが一生懸命に頑張り時には思い悩む姿などをドキュメンタリー的に見せたかったのかなと感じました。

1章、2章でも日常的な部分が描かれていたのでそういう要素は大事にしているとは思っていたものの、最後までその雰囲気を貫いていて「作品全体がこういう作風の物語だったのか」と今更気づかされた感じ。

シャニアニ2話~5話ではユニットごとに起承転結のある感じの話を描いていたこともあり、8話を見た感想としては「ああ~、最終回に向けて徐々に盛り上がっていく感じの構成になりそうだな」と思っていたら、そういう感じではなかった!

良かったかどうかは別として、潔く愚直なつくりでしたね。

予想していたストーリーとのギャップが大きくて鑑賞後は少々消化しきれない部分もありましたが、時間が経つといくらか納得できるところも増えてきて、改めて最初から見直したい気持ちはあります。

公式本予告より

3章で特に良かった部分としては、ライブシーンの臨場感は好き!

アイドル達のそれぞれの動きが映えていて、実際のライブのような迫力を感じる部分もありました。
特に放クラは良かった!

曲が途中でカットされるところは少々気になりましたが、色々な楽曲のライブシーンが描かれていたのは満足感がありました。

また、ステージの舞台裏の様子や客席の様子などの描写も差し込まれており、ライブのメイキング映像や実際に観客席からライブを見た時のような臨場感を彷彿とさせるところは個人的に好み。

ライブ中の裏方の様子や現地の観客の熱気などはリアルな感じがあって印象的。
こういう部分も描いてくれたのは嬉しかったです。

実際の1stライブを想起させるシチュエーションの中で、シャニマス初期組16人のアイドルが思い出深い曲を歌う姿はやはり感慨深い。

僕は現実の1stライブの時はまだシャニマスをプレイしていない時期だったので(後にBDで見ました)、いま再びシャニマスアイドル達が1stライブで歌う姿を目にすることができて胸がいっぱいになりました。

個人的にはこれが見れたので良かったって気持ちはあります。

公式本予告より

ストーリーは2章で感じた印象と同じく、起伏が少なくて印象には残りにくいかな。
良くも悪くも劇的な展開がなく、起承転結がないのは好みが分かれそう。

ライブシーンではあまり気になりませんが、それ以外のパートではストーリーの薄さが気になりました。

歌詞の解釈や練習シーンを描くのはリアリティがあって面白いとは思うのですが、間延びしている感じがあったのは否めない。

あと、尺の都合なのか、アイドル1人1人に割く時間が少なかったこともあって、「どうしてこのアイドルはこういう行動をしたんだろう?」という余白が説明不足に感じたのも気になる。

会話の間をとったり、あえて直接的に描かない余白があるのはゲーム版でもよく使用されている手法ですが、シャニアニではあまり効果的に機能していない印象を受けました。

ゲーム版は直接的でなくともアイドル達の性格や動機が描写されていたり、メタファーとなるものが別で提示されていたりするので説明不足を感じさせず、会話の間がストーリーの味わい深さに機能していて効果的だと感じます。

一方、シャニアニでは、アイドルのバックボーンの描写不足やテーマ性が薄いことで、単純に分かりづらい印象を受けました。

ゲーム版をプレイして色々なストーリーを読んでいる人ならアイドルの内面を推測できるかもしれませんが、単体作品の中で読み取りづらいつくりになっているのは個人的に好みではない。

また、現実に行われた1stライブへの思い入れがどれくらいあるかで感想が変わるところは大きいかもしれません。

シャニアニでは1stライブ周辺の時期から1stライブへの出来事をかなり印象的に描いているので、この時期からシャニマスを追っていた人などは感動が大きいかも。

公式本予告より

改めて「アイドルたちの1stライブへ向かう姿をドキュメンタリー的に描く」というつくりは挑戦的で興味深いなと思います。

ただ、ドキュメンタリー的な作風が多いと分かって見直しても、それはそれで内容的に物足りない部分が目についてしまう感じはあります。

(率直に言えば、ドキュメンタリー作品として捉えてみても単体の作品として物足りなさを感じる)

ユニットを絞って描くならまだしも、16人全員のアイドルを満遍なく見せながら1クールで収めるのは、さすがに難しかったかなと。
(イルミネーションスターズを中心に描くとかならできたかもしれない)

個人的にアニメでドキュメンタリー風に描くのはかなり難しいと思っています。

ドキュメンタリー作品は編集の意図があるとはいえ、人間の生の仕草だったり生の感情がカメラに映りこんでいるところに一つの面白さがあると個人的には考えています。

アニメだと全てが人の手によってつくられるフィクションであり、例えば「道端の石」や「すれ違う人」でさえも制作者が描いたことで存在するものなので、「生のものが映ってしまった」という感覚を生み出すのはかなり難しいと感じます。

(もちろん不可能ではないと思いますが、かなりの技術が求められそうという印象)

また、2時間映画ならまだしも、週間アニメでリアルタッチなドキュメンタリー風の話を描くのも難しいのではないかと感じました。

今回のシャニアニのような作風だと、次週も見たくなるような強烈な引きを描きにくいし、劇的な展開も起きない作風なので、この作風でやるなら1時間~2時間で完結する映画やOVAのような構成の方が向いていた気はします。

公式本予告より

また個人的に3DCGは嫌いじゃないんですが、機微な演出や抽象的な表現が求められるなら、手書きの方が向いていた気はします。

3Dでも不可能ではないと思いますが、表情のわずかな変化や生活感とかを再現するのはかなりハードルが上がると思うので、もう一声欲しくなるシーンもありました。
(シャニアニも頑張っていてるとは思うのですが……!)

ドキュメンタリー調の作風じゃないなら3Dでもありだなあと思います(ミリアニとか面白かったし)ただ、リアルな感じを表現するなら手書きの方が効果的かなあ。

ドキュメンタリー作品ではありませんが、アニメ映画だと『この世界の片隅に』は人物の動作が細かく描写されており、フィクションだけど「リアルだな」と思わされるシーンがあったので、そういう感じが求められるのかなと。

ドキュメンタリー風であるにしろ、演出面は気になるところがありました。

特に16人全員の顔のアップを順番に見せる演出が4回くらい?ありましたが、あの演出はどうかな……と思いました。

間延びしてテンポが悪いし、連発されることでエモーショナルな気持ちにもならなかったです。
他にもライブシーンで、アングルが演出面はもう一声ほしかったなと思ったのは事実。

公式本予告より

色々と書いてきましたが好きなシーンは結構あるし、鑑賞後に色々と考えを巡らしたくなる箇所もあって面白い体験ではありました。

嫌いになれない感じですね。

既存プレイヤー向けの内容になっているわりに、満遍なくアイドルの姿を描こうとして深堀できていなかったり、演出的に間延びして起伏のない展開が続いたりと中途半端になっているのはもう少し焦点を絞ってほしかったかなあ。

人にはおすすめしずらいけど、描き方によってはもっと面白くなりそうな作風で興味深かったです。
(今後、ドキュメンタリー風作品を長尺アニメで自然に表現した作品が出てきたら見てみたい……)

こういう作品だと分かったうえで初めから見直したら、また感じ方が変わるかもしれない
僕はシャニマスをプレイしているから楽しめるところはあるけど、逆に初見の人はどんな感想を持つのか気になりますね。

第1章の感想こちら

第2章の感想こちら

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