『都市伝説解体センター』クリアしたので感想・レビュー!
僕がプレイしたのはSteam版。
発売前から注目度が高く、発売後もたびたび話題になっていた今作。
僕もインディーズゲーム紹介番組や東京ゲームショウなどで見かけて、ビジュアルや設定にグッと興味を惹かれていました。

「都市伝説」と「SNS」をテーマにして、現代性を反映しながら先の気になる面白いストーリーにのめり込みました!
キャラクター同士のやりとりも面白く、クリアした時の満足感も大きい。遊びやすいボリュームのミステリーアドベンチャーでした!
青みががった暗色を中心としたピクセルアートが妖しくも魅力的!
都市伝説のイメージにピッタリの不穏な雰囲気があり、怪異などには赤色を使って表現されるのが鮮烈で印象に残ります。
ピクセルアートで描かれたキャラクターの多彩な表情や、場面に応じたアニメ―ションの使い方など演出も上手く、物語に没入してワクワクドキドキさせられました!
システムはオーソドックスなポイント&クリックアドベンチャーゲームといった内容。
なかでも、SNS上の投稿を調査するパートは、実際のSNSを思い出すような妙にリアルな質感の内容ばかりで制作陣のこだわりを感じる。
個人的に特に好きだったのはキャラクターとストーリー!
主人公の大学生「福来あざみ」や都市伝説解体センターのセンター長「廻谷渉」、ダウナーな先輩調査員「ジャスミン」といったキャラクター達が活き活きと描かれていて魅力的。
そして、「都市伝説」と「SNS」を上手く絡めた今の時代にマッチした物語や、毎話続きの気になる引きの強い展開、衝撃の内容など最後まで楽しめました!
この記事では物語の核心についてのネタバレはなし。クリアしたら色々と感想を話したくなるストーリーだけど、ネタバレなしの方が楽しめるストーリーだと思います。
特に終盤~クリアまではかなりテンションが上がる内容だったので、未プレイならぜひ自身でプレイしてみてほしいくらい!
クリアにかかった時間は12時間くらい。
話数ごとに区切られている構成で、1話ごとに大体2時間前後くらいのボリューム。
区切りがあるので、毎日コツコツプレイしやすいのは良かったです。
『都市伝説解体センター』とは
『和階堂真の事件簿』を手掛けた「墓場文庫」が開発、集英社ゲームスよりリリース。
怪異にまつわる依頼を解決するミステリーアドベンチャー。
都市伝説などが絡む依頼を調査し、真相を解体する「都市伝説解体センター」の新人調査員となった主人公「福来あざみ」が、センター長の「廻屋渉」や先輩調査員の「ジャスミン」らと共に、様々な依頼を解決し、その先に待ち受ける真実に迫っていくストーリー。
ピクセルアートで表現されたグラフィックや、1話ごとに区切られた連続ドラマのような形式のアドベンチャー。
調査の中では、現場での聞き込み調査以外にも、SNS上の投稿を調べていくパートも今作の特徴の1つ。
都市伝説を題材にした怪しくも惹かれる設定&

有名な都市伝説をテーマに、奇妙な事件の謎を解き明かす展開がキャッチー!
「都市伝説解体センター」に届く様々な依頼に対して、新人調査員「福来あざみ」が現地での聞き込みや、SNS上での投稿のチェックを通じて、真相を解明していくミステリー。
不可解な現象にまつわる依頼が届く→事件を調査して関連する都市伝説を特定→さらに調査して事件の真相を解明、といった流れで謎に迫る展開は面白い!
例えば、体験版で描かれていた第1話では「ベッドの下の男」にまつわる事件が描かれており、なんとなく聞いたことのある都市伝説が多くテーマになっているのはワクワク。
「今回の話ではどの都市伝説が題材になるんだろう」とか「これらの都市伝説の内容が事件にどう絡んでくるんだろう」とかそのあたりも興味深く物語を楽しめました!
また、「都市伝説」を扱った内容ですが、トリックが超常現象なんでもありって感じのストーリーではない。
不可解な現象は起きても、その裏に隠された人間の思惑が描かれたりと、想像していたよりも地に足の着いた内容。(トリックが超能力でした!とかそういう方向性ではない)
テレビドラマで例えると『TRICK』とかの雰囲気を感じる
SNS上の内容が事件に関係する様子や、とはいえ不思議な現象に出くわすシーンもあったりと、独特なバランスが魅力に感じました。
ピクセルアートで表現されたビジュアルが印象的!

今作の特徴である、ピクセルアートで表現されたビジュアルや演出が素晴らしい!
色使いが印象的で、青系の暗色がメインのグラフィックに赤色が映えて鮮烈!
サイケデリックな雰囲気が「都市伝説」の妖しさを強調させて、ドキドキさせられます。
キャラの表情変化パターンや、場面ごとに登場するスチルやアニメーションも凝っており見事!
会話中にキャラの表情がコロコロ変わるのが魅力的。特に主人公のあざみーは笑ったり・驚いたり・悩ましい表情などいろんな表情を見せてくれて可愛らしい!

都市伝説を特定するシーンや真相を解明するシーンでは派手な演出が差し込まれるのも面白く、インパクトを優先する感じが「まさにゲーム!」って派手さで好き!
1つの話の中で記憶に残るシーンがいろいろあり、物語の盛り上げや各キャラクターへの愛着に一役買っています。
怪異現象に出くわすシーンはインパクトあるけど、個人的には怖いってほどではないバランスでちょうど良かったです。
(ホラーゲームは苦手なので……!)
怖がらせるっていうよりは不気味な現象を描いている感じ。
粗めのグラフィックがむしろ味わいを感じさせて効果的でした。
個性豊かなキャラ達がとても魅力!

メイン3人をはじめ、登場キャラがいいキャラばかり!
ちょっとの出番でも印象的なキャラが多く、物語を魅力的に彩っていました。
新人調査員の大学生「福来あざみ」(通称あざみー)の素朴で優しく可愛らしい姿や、胡散臭さがあるけど聡明で事件解決のサポートをしてくれるセンター長「廻屋渉」、ダウナーな性格だが様々なスキルに長けた頼れる先輩調査員「ジャスミン」など個性的な面々が登場!

現場調査やSNS調査パートなどでの、それぞれのキャラ同士の掛け合いが楽しく、ストーリーを進めるたびにどんどん愛着が湧いてきます。
もし次回作があったらまた活躍が見たいくらい!

キャラクターの表情が豊かなのも好きなポイント。ピクセル調のグラフィックで様々なパターンの表情が用意されているし、モーションも凝っていてリアクションが楽しい。
(特にあざみー!電話がかかってきたときの、口を「一」にしている表情が味わい深くて個人的に好き)
他作品で例えると『逆転裁判』シリーズを彷彿とさせる良さがあり、こういうこだわりが各話に登場するキャラの印象深さに繋がったんだろうなと思いました。
オーソドックスな形式のアドベンチャーパート。SNSを用いた描写が妙にリアリティ感じる!

ゲームパートはオーソドックスなポイント&クリックアドベンチャーゲーム。
現場調査では気になる箇所のチェックと関係者への聞き取りを行い、真相に繋がる証拠を集めていきます。
主人公のあざみーは、眼鏡をかけると過去の人や物の痕跡を見る能力を持っているので、この力を駆使して発見できる情報も!
システムは新鮮味が薄めな分、分かりやすさはありました。
基本的に総当たりで良く、選択をミスした時のペナルティはないので難易度は低め。

調査中に行う「SNS調査」は今作の特徴!
SNS上で事件に関連しそうな投稿をチェックして、気になるワードが集まればそのワードで検索、事件にまつわる情報を集めていきます。
システム自体は斬新ではないけれど、SNS投稿内容が妙にリアルな質感で没入感を増してくれる!
多くの人々が本当だか嘘だか分からない情報を発信し、他人を煽る内容を書く人もいれば勝手に自論を展開する人もいたりと、SNSのカオスな様相が表現されていて絶妙!
勝手な決めつけをしている乱暴な口調の投稿とかを見ると「うわ~、SNSだ~!」ってなんとも嫌な気持ちにさせてくれる作り込み。制作陣のこだわりを感じます。
よくこの雰囲気を再現できたなと感心しました!
穏やかじゃない投稿ばかりのなかで、時々ほっこりする純粋な投稿があると嬉しくなるのもSNSっぽい。いろんな人が好き勝手に発信することによる現代のSNS空間をゲーム内で描いているところは、今の時代にやると特に刺さる部分が多い。

投稿内容ごとにチェックできて、あざみーやジャスミンの短い会話が用意されているのも楽しい。
一言、二言くらいの内容ですが投稿全てに会話が用意されているのがすごい。
キャラ同士の掛け合いが面白いし、それぞれのキャラの性格が垣間見えるので、事件に関係ない投稿でもチェックしたくなりました!
都市伝説とSNSを上手く絡めたストーリーが面白かった!引きの強さと怒涛の展開に驚き

今作で特に良かったのはストーリー!
現代性がありながら、先が気になる展開ときっちりとまとまった構成が見事なミステリーでした!
「都市伝説」と「SNS」というテーマを扱っているのが面白く、物語をとても味わい深くしていたポイント。
非現実の都市伝説と現実のSNSという反したようなものでありながら、人の噂によって伝播し、時には事実が歪曲したり誇張する様は似ていて、上手くストーリーに盛り込まれていました。
有名な都市伝説が事件にどう絡んでくるのかとか、果たしてその真相は本当に不可解な現象なのか?というミステリー要素も先が見たくなる魅力。
そのなかにSNSの要素が含まれており、現代的なメッセージ性もあって今の時代のプレイヤーには共感しやすいはず。
1話完結型のドラマ形式の構成は区切りがあって見やすい。また、エンディングでは歌付きの楽曲が流れながら意味深なシーンが描かれて次回へと続くムービー演出が差し込まれるのも熱い!
(テーマ曲の「奇々解体」が流れて最後に「都市伝説解体センター」のロゴがドーン!と表示される流れが毎話楽しみだった!)

依頼を重ねていく中であざみーが成長していく様が嬉しいし、積み重なったストーリーの果てに描かれる終盤の展開や物語構成も見事!
詳しいことは書かないんですが、「ええっ!」って思う驚きの展開もあり、クリア後の余韻も凄い良いアドベンチャーゲームでした……!
クリアしてからもストーリーを振り返って思いを巡らしたくなる余韻が大きい。
「あれってもしかして……!」とか「よく考えたらあの部分ってどうだったのか確認したい」とか様々な気持ちに。
クリア後もストーリーやキャラのことを考えて、自分なりに解釈したくなったり不明な部分もあったり。だから、他の人に感想や考えを伝えたくなったり、他の人の感想を見に行きたくなったりしますね!
発売後から『都市伝説解体センター』に関する感想や考察はネット上にいろいろありますが、色んな人がネット上で話題にして、周囲に伝播し言い伝えられていく様子が、都市伝説みたいでこの作品にふさわしいなあと感じます。
好みが分かれそうな点・気になる点
ゲーム部分の難易度は低め。
ミスした時のペナルティはないため、推理力を試されるようなタイプのゲームではないです。
推理ゲームだと思ってプレイするとギャップはあるかもしれない。
その分、誰もが最後までクリアできる内容だと思うのでゲームを普段プレイしない人でも手を出しやすいかと思います。
また、調査パートが少々作業感を感じる時はあるかな。
基本的に気になる箇所を全部チェックすればクリアなので、チェックの順番や会話の順番は特に気にしなくて問題なし。
会話やチェックした時のあざみーの反応や掛け合いは楽しいんですが、チェックする個所が地味に多いことやあざみーの移動スピードがあまり早くないこともあって少々ストレスに感じる場面はあるかも。
あと、一部の展開は人によっては好みが分かれそう!
衝撃はあるけど人によっては納得できないと感じるかもしれない。
(僕は「ええっ……!うおおお!!!」って驚愕でテンション上がりました)
まとめ:令和最新の傑作インディーズアドベンチャーゲーム誕生!

以上が『都市伝説解体センター』の感想・レビューでした!
現代的テーマを盛り込みながら、都市伝説を絡めたミステリーが先の気になる面白さ!
ドラマ形式の見やすい構成や終盤で加速度的に盛り上がる構成も見事で一気にプレイしちゃいました。
魅力的なキャラクターたちの掛け合いも楽しく、ストーリーが進むにつれ愛着が増していきます。
ピクセルアートで表現された味わい深いグラフィックも作品への没入感を高めてくれ、キャラクターの表情やモーションも凝っていてGOOD。
SNSに関する描写に力が入っており、現代のプレイヤーには共感しやすいポイントも多いはず。今プレイする価値のあるタイトルだと思いました!
クリア後の余韻も凄く、「良いアドベンチャーゲーム遊んだなあ……!」って気持ちにさせてくれる傑作でした!
10時間ちょっとでクリアできるボリュームや、ダウンロード版だと2000円ほどの価格など、とても手に取りやすい作品なので興味ある方はぜひ!
おすすめです!
アドベンチャーゲーム系ならこちらもおすすめ!
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