『AI ソムニウムファイル』クリアしました!
僕はXBOX Game Passを使用してPC版をプレイ。
AIの相棒と共に、現実と夢の世界を捜査して猟奇的殺人事件の謎を追うアドベンチャーゲーム。
癖の強いキャラ達や、シリアスな物語ながら随所にギャグや下ネタ等のユーモアを挟みながら進む語り口が独特。
そして、終盤に向けて続々と謎が回収されていくストーリー構成の完成度には驚きました!
序盤~中盤に感じていた「あの意味深な台詞はなんだ?」「結局、あの事件ってどういうことだったの?」といった疑問が終盤にかけて次々と回収される展開には「なるほど~」と感心しきり!
猟奇的殺人事件が題材なだけにグロテスクなシーンはありますが、読後感は気持ちのいいものでスッキリした気持ちになりました。
捜査パートでは、夢の中で捜査を行う「ソムニウムパート」(ポイント&クリックアドベンチャー形式のゲームパート)という要素があります。
時間制限の設定を上手くゲーム性に組み込んであって、パズル的な試行錯誤の面白さを味わえました。
なお、捜査パートがあるといっても、本格的な推理ゲームというよりはテキストを読み進めていくタイプのゲーム性です。
本格的な推理に挑む!といったジャンルのゲームではないので、そのあたりのゲーム性を期待する人は注意。
好みの分かれる点としては、癖の強いノリのストーリー。
ストーリー展開やキャラ描写で下ネタやパロディネタなどがところどころあり、好みが分かれる。
シリアスな場面でもしょうもないギャグをとばすこともあるので、その辺気にする人は「おいおい……」って感じでノれないかも。
個人的には独特のテイストでそれほど嫌いではなかったです。
クリア時間としては25時間くらいのボリュームでした。
※ネタバレは避けておりますが、本編に多少触れる記載はあるので気になる方はご注意ください
概要
機種:Switch/PS4/Xbox One/PC メーカー:スパイクチュンソフト ジャンル:アドベンチャー 発売日:2019/9/19
公式サイトはこちら
ストーリー
東京。
11月のとある金曜日の夜。降りしきる雨の中、
ひとりの女性の遺体が発見された。
場所は廃墟と化した遊園地のメリーゴーランド…。その遺体の顔には左目がなかった。
どうやら犯人にくり抜かれ、奪われたらしい。一報を聞きつけ事件現場に訪れた刑事、伊達。
彼は遺体の顔に見覚えがあった。
なぜ、彼女が――――これは、夢と現実を捜査し、
公式サイトより引用
失った記憶と因縁の殺人犯を追う、
ある刑事と相棒の物語。
ルートは複数ありますが、最終的なEDは一つに至る形式です。
ストーリーを手掛けているのは、『EVER17』『極限脱出』シリーズも手掛けている打越鋼太郎氏。
良かった点
先が気になる展開。数々の謎が鮮やかに回収されていくストーリー展開!
ストーリーを進めるたびに、次々と新たな謎が出てきて先が気になる展開は魅力的!
ストーリーの展開上いくつかのルートに分岐しますが、ルートによって物語展開がガラッと変わるので驚きます。
選んだルートによっては「別のルートだと仲間と思ってたキャラが、今回は行動がめちゃくちゃ怪しいぞ……?」とか「このルートだと、あの人死んじゃうの!?」など流れが大きく変わる展開が発生して、プレイヤーの心を翻弄しまくり。
謎が解決されないまま終わったルートで「もやもやした結末だな……」と思ったら、別のルートでその謎を解決する真相が明かされたりと、練られたストーリー構成になっています。
伏線回収が上手いなあと感心しきり。
プレイ途中までは様々な謎が進めるたびに出てくるので「これ全部、回収できるのかよ……」と思っていましたが、最終ルートに向けて謎が鮮やかに回収されていくので、気持ちのいい読後感のあるストーリーでした。
まさか、そんな真相だったとは……ってなりましたね。
丁寧に練られたストーリー構成は非常に魅力的!
捜査パートがパズル要素的で面白い
対象人物の夢の中に入り捜査を行う「ソムニウムパート」が、オーソドックスながらパズル要素的な面白さがあって良かった!
「フィールドを動き回って、フィールド上のオブジェクトに対して行動を選択する」というシンプルなアドベンチャー形式のゲームですが、時間制限の概念を上手いことゲーム性に組み込んでいて、ちょいと頭を使います。
フィールド内にいくつかのオブジェクトが存在していて、オブジェクトを選択すると「どういう行動をとるか」複数の選択肢が提示されます。
選択した行動によって経過する時間が変わるので、正しい行動を選択し、制限時間内に特定の目標を達成できればクリア。
選択した行動によっては、行動による経過時間を減らすアイテムが手に入るので、それらのアイテムをどの選択肢で使用するかもポイント。
例えば、「行動による経過時間を1秒にする」アイテムがあった時は、10秒かかる行動の選択肢よりも、60秒かかる行動の選択肢の時に使用した方がより効果的……みたいな感じ。
状況によっては、「ここの選択肢ではあえてアイテムを使わずにとっておく」など試行錯誤しながら判断していく面白さがありました。
また、捜査を行う舞台となる夢の世界は対象人物の心理状態に合わせて、ガラッと世界観が変わるのがビジュアル的にもストーリー的にも楽しい。
事件現場を再現したかのような世界、思い出の場所をモチーフとした世界、マインクラフト風のゲーム的世界……など、ビジュアルが変化に富んでいるので見た目的に面白い。
加えて、キャラクターの心理状態や抱える悩みが世界自体に反映されている部分もあるので、キャラクターの内面の深堀・ストーリーの謎に繋がる部分があり、物語への没入度が上がりました。
一癖も二癖もあり印象深いキャラ達
登場人物は曲者揃いで印象深い面々!
主人公の伊達鍵は警視庁の先進式人脳捜査部隊ABISに所属する警察官。
一見クールで冷徹そうな見た目ながら、アイボゥとの会話でジョークを飛ばす気さくさや、エロ本を見ると身体能力があがるほどのエロ本好きなど癖が強い!
同居人のみずきとのやりとりは不器用ですが、暖かさを見せる一面もあってどんどん好感度が上がる人物でした。
相棒となるAIのアイボゥは、普段は伊達の左目の義眼として収まっているが、小動物みたいなモードで歩き回ったり、夢の世界では少女の姿に変化することも可能な存在。
AIとしての力を活かし、情報収集や分析能力も圧倒的に高く、危機的状況になったときの頼りがいは半端ない。正直、アイボゥがいなければ解決できなかっただろって場面がありすぎるくらい優秀な相棒。
しかも妙にノリがよく、伊達と軽快なやりとりをすることも多い。
冷静なツッコミも上手いが、パロディネタもやったりする。
コミカルな場面もシリアスな場面も含めて軽妙な掛け合いが面白いので、伊達とアイボゥのバディ感も本作の魅力の1つ。
他にも、明るい性格だがときおり鋭い言動や突飛な行動を見せる女子高生ネットアイドルA-Set(通称アセトンちゃん)こと左岸イリスや、イリスの熱狂的ファンである24歳ニートの真津下応太、伊達の同居人の小学生で劇中で意外な活躍を見せる沖浦みずきなどなど、個性的な面々が登場。
みんな一癖も二癖もあり、単純に良い人・悪い人とは言えない、一筋縄ではない個性が魅力的。
キャラクターが3Dモデルで表現されており、コロコロ変化する表情やモーションも良く作られていて親しみやすかったです。
ルートによっても登場人物の印象が大きく変わるので、心温まる展開や衝撃的な事実を見せられたりなど、ゲームを進めるたびに思い入れが強くなっていきました。
だからこそ、最後のグランドEDにたどり着いた時の感慨はひとしお。
良いキャラ達だったな……!と思いながらEDを迎えました。
気になる点
癖が強くて人を選ぶキャラや描写
ストーリー展開やキャラ描写で下ネタやパロディネタがある点など癖の強いつくりになっているので、そのあたりは好みが分かれるかと思います。
グロテスクな描写も人を選ぶとは思いますが、それよりも癖の強いノリの方が人を選びそう。
オタク系のキャラが登場することもあって、アニメ・ゲームのパロディネタも出てくるし、しょうもなさすぎて「ちょっとスベッてないか……」って思うギャグシーンもある。
ただ、会話のテンポは良く、サラッと次の話に進んでくれるので気になりにくいです。
シリアスっぽいシーンでもしょうもないギャグをとばしたりするので、その辺気にする人は「おいおい……」ってなるかも。
独特のテイストがあって個人的には嫌いじゃありませんでしたが、一部の戦闘シーンでその場を切り抜けるときにあるアイテムを使ったシーンについては「嘘だろ……」って思いましたね。
選択したルートによっては、進行が途中でストップさせられる時がある
ルートは複数ありますが、進行状況によっては現在のルートの進行がストップさせられ、別のルートを先に進めなくてはならないことがあります。
一見、自由に好きなルートを選択できるように感じますが、ある程度はゲーム側で進めるべきルート順が決められている感じ。
ゲーム側で進めるルートの順番をある程度決めてくれるのは個人的には気にしないタイプですが、僕が一番最初に選んだルートが「終盤に選ぶべきルート」だったようで、進行をストップさせられてから続きを見るまでに、いくつか別ルートを進める必要があったのはちょっと気になる点。
ようやく進行できるタイミングになった時には時間が空きすぎて、「前回どんな展開だったかな」とちょっと忘れてました。
ただ、フローチャート機能がしっかりしていて、シーンごとのあらすじが記載されていたり、シーンごとにどのタイミングから再開するかなどが細かく区切られているのは助かる。
自分で好きな順にルートを選択して物語を見ていくのが好きなタイプの方は注意です。
まとめ
人を選ぶ描写や癖の強いキャラは好みが分かれますが、先が気になるストーリー展開・ユーモアやシリアス、感動が混ざった独特のノリや登場人物たちの姿に親しみを感じるようになり、クリアした時にはほどよい読後感が味わえる1本!
捜査パートでは、オーソドックスなシステムながらパズル的に試行錯誤を進めていく面白さもあり、夢の世界の独特のビジュアルも併せて、印象的なプレイ体験を味わえました。
この記事を書いているタイミングだと、XBOX Game Passのラインナップにも入っていますし、セール時には1000円切る時もあるのでお手頃!
ノリが嫌いじゃない方にはおすすめのタイトル。
続編『AI: ソムニウムファイル ニルヴァーナ イニシアチブ』も発売されていますので、今作が面白かった方は続編もぜひ!
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3D系のアドベンチャーゲームならこれも面白かったです!
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