映画『爆弾』感想|スリルに満ちた超エンターテイメントサスペンス!役者陣の圧巻の演技にも目が離せない!

映画感想
当サイトではアフィリエイト広告を使用しています

映画『爆弾』観てきました!
原作小説は未読の状態で鑑賞しましたが、とても面白い邦画作品でしたね〜!

今年の邦画といえば『国宝』が評判・話題性で頭ひとつ抜けていますが、『爆弾』もそれに引けを取らない、相当に良い作品でした!

取調室での会話劇の緊迫感、日常を脅かす連続爆弾事件のスリリングで先の読めない展開、人間の心の弱さや脆さが浮き出る心理ドラマなど、良質なエンターテイメントサスペンス作品を求めている方にはおすすめです!

俳優陣の演技も素晴らしく、特に佐藤二朗さんの怪演は凄まじい!

この記事では『爆弾』の感想をややネタバレありで書いていきます!
結末については避けていますが作品展開に触れている箇所があります。気になる方はご注意ください。

スポンサーリンク

映画『爆弾』とは

公式サイト

映画『爆弾』は、呉勝浩の「このミステリーがすごい! 2023年版」国内編第1位に輝いたベストセラー小説を原作とするサスペンス。

監督は『キャラクター』『帝一の國』などの永井聡。
出演は、佐藤二朗、山田裕貴、伊藤沙莉、染谷将太、渡部篤郎といったキャスト陣が、極限の心理戦を繰り広げます。

ストーリー

令 和 最 大 の 衝 撃 作

街を切り裂く轟音と悲鳴、東京をまるごと恐怖に陥れる連続爆破事件
すべての始まりは、酔って逮捕されたごく平凡な中年男・スズキタゴサクの一言だった

「霊感で事件を予知できます。これから3回、次は1時間後に爆発します」

爆弾はどこに仕掛けられているのか? 目的は何なのか? スズキは一体、何者か?
次第に牙をむき始める謎だらけの怪物に、警視庁捜査一課の類家は真正面から勝負を挑む
スズキの言葉を聞き漏らしてはいけない、スズキの仕草を見逃してはいけない
すべてがヒントで、すべてが挑発
密室の取調室で繰り広げられる謎解きゲームと、東京中を駆け巡る爆弾探し

「でも爆発したって別によくないですか?」
 ― その告白に日本中が炎上する

公式サイトより
スポンサーリンク

感想(ややネタバレあり)

取調室の密室劇が織りなす極上のサスペンス!

物語は、酔っ払いによる迷惑事件から取り調べを受けていた、佐藤二朗さん演じる謎の中年男性「スズキタゴサク」が突然、東京都内に仕掛けられた爆弾事件の予告を口にするところから急展開します。

冗談だと取り合っていた警察をあざ笑うかのように、予告通りの場所で実際に爆発事件が発生。ここから、タゴサクは真犯人なのか?という疑惑を巡る、息を飲むサスペンス劇が開幕します。

導入からして一気に惹きつけられました!
冒頭でいきなり取調室から始まり、佐藤二朗さんの冗談じみた飄々とした振る舞いから急に、「霊感で爆発事件が予知できる」と言い出し、その後に秋葉原で本当に爆発が発生。
吹き飛ばされる人をバックに映しながら、タイトルロゴ「爆 弾」がドーンと表示される流れに痺れます!

今作の構成は、取調室での様子と都内で事件の捜査をする警察官の様子が交互に描かれ、時に街の人々の様子が挟まるという感じになっています。
特徴的なのは、作中で体感6割くらいが取調室での会話シーンで構成されており、タゴサクと刑事たちの濃厚な会話劇の応酬だけでも、画面に釘付けになるおもしろさがあります!

息の詰まるような取調室の狭い空間で、タゴサクが場を支配していく独特の空気感、それに相対する個性豊かな刑事たちの応酬が、飽きさせない魅力になっていました。

また、刑事たちが都内を捜査するパートが定期的に差し込まれることで、同時進行で事件が進む面白さがありつつ、取調室と事件現場という「静」と「動」のような対比を感じるバランスも好み。

次の爆発はどこで起こるのかというミステリー要素と、爆弾を止められるのかというハラハラ感が並行して進行し、二転三転する予測不能なストーリーに惹き込まれましたね!
「えっ!?この人もやられるの!?」という衝撃もあり、スリリングで最後まで目を離せませんでした。

佐藤二朗さんをはじめ、俳優陣の強烈な演技合戦も魅力!

本作の大きな魅力は、俳優陣の演技合戦
出演した全員演技が素晴らしいのですが、特に佐藤二朗さんの怪演は凄まじいの一言!

おちゃらけた演技が得意な印象の強い佐藤さんが持ち味を活かしながら、シリアスかつユーモラスに相手を翻弄する怖さが描かれていて、今年観た映画の中でも特にインパクトの強いキャラでした。

無邪気にふざけているような様子を見せたかと思ったら、急に理知的な面を見せたりと、緩急が激しく、掴みどころのないキャラクター像は圧倒的な存在感。

刑事たちに謎かけをして事件の場所を仄めかしたり、向き合い難い人間の弱い一面を突いてきたりと、相対する登場人物だけじゃなく、映画を観ている観客すら心を揺さぶってくる様子は強烈に印象に残りました。

僕が特に印象的だったシーンは、劇中でYouTube動画を撮影したシーンが流れるところですね。

タゴサクが倫理的に問題のある内容を淡々と1分半近く話し続ける様子は圧巻!
本当にひどいことを言っているのに、あまりにサラッと喋るものだから自然と聞いてしまい、聴き終わったあとに内容を理解して「えっ?」ってなる感覚は印象深い。

山田裕貴さん演じる類家の存在感も見事!

タゴサクに対峙する刑事たちの演技も見事でした。
染谷将太さん演じる「等々力」のやさぐれた感じとか、渡部篤郎さん演じる「清宮」のベテランの風格漂うキリっとした佇まいとか、それぞれ個性が立っています。
それぞれのスタンスで対峙するので、バリエーションあって会話劇が飽きません。

特に山田裕貴さん演じる「類家」との対決は見もの!

類家は凄く頭のキレる天才で、ちょっとした会話の内容からすぐに答えにたどり着く様子は「マンガのキャラかな?」と思うくらいフィクション感があって、絶妙な異物感でした!
良い意味で浮いた存在という感じ。

タゴサクもかなりのキレ者なので、2人の緊迫した言葉の応酬が「天才VS天才」の対決のよう。それでいながら、似た部分のあるもの同士が相反する立場にいるという構図が面白いポイント。
もしかしたら類家もタゴサクと同じような立場になっていたかもしれないという、絶妙なバランスが物語やキャラに深みを与えていたと思います。

社会を映す風刺や感情を揺さぶる心理ドラマ

今作はエンターテインメントサスペンスの魅力がありながら、現代社会への風刺や人間の心理を描いたドラマになっているのも味わい深い!

事件の模様がSNSで面白おかしく拡散され、それがかえってタゴサクの思惑通りに動いてしまう様子や、大きな混乱を招いてしまう様子などは、現代社会の構造を鋭く突いています。
(この手のサスペンス作品のSNSの扱いは悪くなりがち……!まあ、SNSは混沌としがちだからね……)

また、複数の集団があって「どちらを助けるべきか」といった倫理的な問いや、つい魔が差してしまう人間の心の脆い部分、弱者であるはずの立場の人を見捨ててしまうといった直面したくない部分などを、タゴサクが事件を通して的確に突いてくる心理ドラマも、観客の感情ごと揺さぶってきます。

綺麗ごとじゃない現実に対する苦々しい気持ちや諦観を感じつつ、でも、それだけでは終わらないバランス感覚は個人的に好みでしたね。
心が折られボロボロな気持ちになっても、それでも自分の役割をこなそうと奮闘する刑事たちの姿は、人間の強さを信じたいと思わせてくれる感動があり、泥臭くも進む姿には胸が熱くなりました!

日常に潜む爆弾事件の恐怖と没入感のある演出

爆弾事件が日常の中に溶け込んでいる描写は、身近な場所に爆弾が仕掛けられているというリアルな恐怖を想像させられてヒリヒリしました!

公園や鉄道など東京都内の見覚えのある風景で、突然爆発が発生してパニックが発生するので、妙に現実感があって背筋が冷える……!

近年の邦画だと、『ラストマイル』も配送をテーマに爆発事件を描いた作品でしたが、あれを鑑賞した時もAmazonの箱を開封する時にちょっと思い出してヒヤッとしたというのにね。『爆弾』を観たら通勤が怖くなっちゃいますよ!

東京の各所が登場するので、都内に住んでいる人はより身近に感じられて、スリリングな鑑賞体験を味わえるかもしれない……!?

また、取調室での大胆なカメラアングルであったり、登場人物の頭上をぐるっと通るようなカメラワークも斬新でした。
奇妙なカメラの動きや明暗を効果的に使った緻密な画作りによって、観客もまるでタゴサクのつくる独特な雰囲気に飲み込まれていくような、臨場感あふれる体験を味わえます。

少し気になった点としては、ミステリー要素は中盤までの展開の方が好みだったのと、終盤の展開の時の民衆の反応をもう少し描いて欲しかったところはあります。
ただ、全体としては特に気になる点はなく、非常に楽しめましたね。

スポンサーリンク

おわりに

ミステリーサスペンス映画としても面白いし、社会風刺や心理ドラマの面も心に残る、かなり面白い邦画でした!

取調室のシーンの没入感や、爆発シーンの迫力&ハラハラ感を存分に味わえる点で、劇場での鑑賞はとても良かったですね。

鑑賞後、1人で考えたり、誰かと感想を共有したくなるような余韻もあり、今年を代表する映画の1本だと思うのでおすすめ!

ラストマイルも面白い映画でしたねえ

コメント

タイトルとURLをコピーしました