映画『ラストマイル』感想|息もつかせぬ展開が見事なエンタメ&現代社会の問題を織り込んだメッセージ性が刺さる!絶妙なバランスの秀作。『アンナチュラル』『MIU404』の面々との再会も嬉しい!

映画感想
引用元:予告映像より
当サイトではアフィリエイト広告を使用しています

映画『ラストマイル』観てきました!

面白かったです!
エンターテインメント性とメッセージ性のバランスが秀逸!

制作陣が過去に手掛けたドラマ『アンナチュラル』や『MIU404』も好きな作品だったので、期待通りのクオリティで満足しました。

宅配物に爆弾が仕込まれる「連続爆破事件」を扱ったスリリングな展開や、魅力ある登場人物たちの活躍が描かれる人間ドラマ部分も面白く、最後まで飽きさせない楽しさを味わえました。

「労働」や「物流業界」といった現実を取り巻く社会問題をテーマの1つとして扱っている点も興味深い。鑑賞後に色々と想いを巡らしたくなる余韻があり、僕自身にも影響を与えてくれるようなパワーを感じましたね。

また、今作は「シェアード・ユニバース」と銘打つ通り、ドラマの『アンナチュラル』や『MIU404』と同じ世界観になっています。
ドラマ版のキャストが登場する演出はドラマ版視聴者には思わずニヤリとするポイント!
(ただし、各作品のキャラが集結して大活躍するお祭り作品って感じではないので注意)

とはいえ、ドラマ未見の人が見ても問題なく楽しめるつくりになっているのは好感を持てました。

※詳細なネタバレは避けていますが、多少内容に触れている箇所はあるので気になる方は注意!

スポンサーリンク

映画『ラストマイル』とは

公式サイト

映画『ラストマイル』は物流業界を舞台にした連続爆発事件が描かれるサスペンスエンターテイメント。
ドラマ『アンナチュラル』『MIU404』と同じ世界観が舞台になっています。

制作陣は監督「塚原あゆ子」脚本「野木亜紀子」主題歌「米津玄師」という、ドラマ『アンナチュラル』『MIU404』で高い人気と評価を得た実力あるチームが担当しています。

俳優陣は、主演の満島ひかりのほか、岡田将生、ディーン・フジオカ、大倉孝二、酒向芳、宇野祥平、安藤玉恵、丸山智己、火野正平、阿部サダヲなど数々の作品で活躍する面々が集結。

ストーリー

11 月、流通業界最大のイベントのひとつ“ブラックフライデー”の前夜、
世界規模のショッピングサイトから配送された段ボール箱が爆発する事件が発生。
やがてそれは日本中を恐怖に陥れる謎の連続爆破事件へと発展していく――。
巨大物流倉庫のセンター長に着任したばかりの舟渡エレナ(満島ひかり)は、
チームマネージャーの梨本孔(岡田将生)と共に、未曾有の事態の収拾にあたる。

誰が、何のために爆弾を仕掛けたのか?
残りの爆弾は幾つで、今どこにあるのか?

決して止めることのできない現代社会の生命線 ―
世界に張り巡らされたこの血管を止めずに、いかにして、連続爆破を止めることができるのか?

すべての謎が解き明かされるとき、
この世界の隠された姿が浮かび上がる。

公式サイトより
スポンサーリンク

感想

最後まで飽きさせない構成で面白く、「労働」や「物流業界」の抱える社会問題を上手くテーマとして盛り込んでいて巧みな内容でした!
鑑賞後の余韻も含めて心に残る1作。

まず、エンターテインメント作品として面白い!

今作は「物流業界」が舞台で、なかでも商品の配送を管理している巨大物流倉庫(ぶっちゃけAmazonっぽい)がメインの舞台になっているのが新鮮。

巨大倉庫内でここまでドラマが繰り広げられる作品というのも珍しい印象だし、施設内の各所でロボットが作業していたり、大勢のパート従業員が効率的に動けるようにルールが整っている様子などは純粋に興味深かったです。

僕はこの手の倉庫のバイトは行った経験がなかったので、こういう風に作業や管理しているのかもなあと思い、「なるほどな~」と観ていました。

巨大な倉庫施設に大量のパート従業員がぞろぞろと入っていく様子を上空から映すシーンなどは、スケール感に驚きました。
同時に、1人1人の人間が集団としてベルトコンベアのように流されていくような印象も受け、後の展開も考えるとドライな印象も受けて、ドキッとしましたね。

配送物の中に爆弾が仕込まれる「連続爆破事件」を扱った内容は、ネット通販が日常的になった現代においては身近な題材で、想像しやすくて恐ろしさが増していました!

Amazonの配送とかでよく見かける小型タイプの段ボールを開けた瞬間、いきなり爆発する時の緊張感はすごかった……!
いつもの日常が唐突に崩される恐ろしさがあり、次はいつ爆発してしまうのかという緊張感が物語の推進力の1つなっていたと思います。

音の使い方も上手く、ベルトコンベアの駆動音や宅配のダンボールを開けたときの「ベリッ」て音がかなり耳に残るんですよね~。
作品の臨場感や没入感が高まるので、映画館で観たことで音の良さをより体感できました。

僕も普段からAmazonや楽天を多用するので、今度届いた時にちょっと頭をよぎりそう……

状況が二転三転しながら進む展開や、運送業者やドライバーなど複数の視点で描写するといった展開で、最後まで飽きさせず、かつ、ちゃんと収束していくストーリーは面白かったです!

労働や物流業界の抱える切実な問題を描いたメッセージ性も絶妙なバランス。
社会の構造上の問題や今の時代だからこそ痛感するものなど、結構ストレートに描いています。
特に、働く中で心身が疲弊した経験がある方や、現在の働き方に疑問を感じた経験がある方は、今回の話は刺さるところが色々あるかもしれない。

個人的にも、働き続けて体調を崩したり、「このまま今の働き方をしていていいのか?」と思った経験はあるので、作中の内容に共感できる部分やグッとくるところはありましたねえ……。
(良くも悪くも、働いてるうちにそういう風になるよなあ……と思うところもありました)

でも、決して労働する人々を否定しているわけではなく、懸命に働く人たちの姿に胸打たれるシーンも多く、感動もありました。

映画を観終わった後の余韻もほどよく、劇場出た後に色々と考えを巡らせたくなる作品。

映画内だけで安易にすっきり解決させるのもありですが、労働や物流業界の問題は今なお現実社会に存在し続けているからこそ、余韻を残すような描き方は誠実だなと感じました。
(もちろんスカッと解決する作品も好きですけどね!)

たまにメッセージ性が強すぎて面白さがないがしろになっているエンタメ作品もある中で、今作はエンタメ作品として面白くも、適切な分のメッセージ性も感じたので、個人的には理想的なバランスに近いかもなあと思いました。

邦画の大規模公開系の作品はエンタメに振りきった作品が多い印象があったので、こういう作品がヒットすると映画作品の幅が出ると思うので良いですね!

『アンナチュラル』や『MIU404』の面々が登場し、再び働いている姿を観ることができたのはドラマ視聴者には嬉しい要素!

おなじみの面々がその後も「ちゃんと頑張ってるな~」というしみじみとした気持ちになるし、作中に小ネタが色々あるそうで、もう一度鑑賞して探してみる楽しさもありますね。

ただし、各作品ががっつりコラボレーションしたお祭り映画ではないので、それぞれのキャラの出演時間は少なめ。
あくまでチョイ役程度で、極端な話、全く別のモブに置き換えても物語に大きく影響はないくらいの感じです。

それくらいにとどめてくれたバランスは、個人的には『ラストマイル』の物語が主軸となって集中できるので良かったです。

ですが、予告などで『アンナチュラル』や『MIU404』の面々が登場することが結構アピールされているため、「本編中にまた大活躍するのかも!?」と思って視聴すると肩透かしかもしれないので注意。

また、犯行のトリックに過度に期待するのもおすすめしません。
僕はなるほどな~とは思いましたが、どちらかというとサスペンスや人間ドラマの方が惹かれたかな。

俳優陣の演技もみんな素晴らしい!
特に主演で巨大物流倉庫のセンター長「舟渡エレナ」役の満島ひかりさんは印象に強く残りました。

演技が上手いせいで「いけ好かないな~」と思っていた時もあったのですが、とある場面で別の一面を見せてくれる瞬間があり、思いのほか共感できて一気に好感を持てました!
物語の中で変化していく役どころを見事に演じていて、魅力的に感じたポイントです。

映画はドラマより尺が短い分、台詞や一人当たりに割く出番が少ないので、ほかの俳優陣も演技でキャラの個性や心境を表現しているのはお見事!
じっくりと映像に集中できる映画館だからこその恩恵も感じられました。

他にもドライバー役の宇野祥平さん、火野正平さんの役どころも好み!
切実な状況でなんとか頑張っている姿に哀愁がありながらも、仕事に真摯に向き合う姿は印象的でした。あと展開的にも「そうきたか!」と思ったシーンもあり好きな人物たちでしたね。

そしてエンディングに流れる米津玄師さんの『がらくた』が心に染み渡る……!
作品の切なさや温かさが伝わってくるようで、今作にすごく合っている楽曲でした。

エンターテイメントとしてもちゃんと面白く、それでいて見終わったあとに残るものがある絶妙なバランスでつくられた秀作!

『アンナチュラル』も『MIU404』も面白かったので期待していましたが、しっかりと面白い作品をつくってくれて、この制作陣は本当に凄いなと思うばかり。
今だからこそ痛烈に伝わる部分もあると思うので、興味ある方はぜひ!おすすめ!

最近の邦画だとこれもかなり感動しました

コメント

タイトルとURLをコピーしました