Amazonプライムで視聴した映画の感想です。
今回は『ファーザー』『トゥルーノース』『彼女と彼女の猫 – Everything Flows -(完全版)』を見ました。どれも面白かったです!
※作品の内容に一部触れているところがあるので気になる方はご注意ください
ファーザー
『ファーザー』は、2020年のイギリス・フランス製作の映画。
アンソニー・ホプキンス演じる80歳代の認知症の男性と彼を介護する娘の姿を描いた作品。
悲しくも胸に残る映画でした……。
認知症に翻弄される父親役のアンソニー・ホプキンスの演技が上手すぎて、非常にリアリティがあって作品に引き込まれました。
視聴していて序盤の部分では、急に声を荒げたり、急に「時計が無くなった」と騒ぎ立てて他人にあたる老人の姿に正直イラっとしてしまう気持ちもありました。
だけど、役者陣の演技と映像の演出が上手く、色々な感情が沸き上がってきましたね。
特に「認知症になった視点を描く」演出は凄い。
様々な時系列が入り混じって映画が進んでいくため、「どの話がいつされたのか、どの話が本当なのかが分からなくなる」認知症の恐ろしさが伝わってくる。
だからこそ視聴を進めるにつれ、父親が認知症によって混乱し翻弄されていることが分かってきて、その現実に何とも言えない切なさがありました。
若い頃には聡明なところやお茶目な人だったのかもなあと思いつつも、色々な記憶が入り混じって何が本当なのか分からない状況によって、余裕がなくなって周りに当たってしまうのかもなあと。
そして、介護をする娘側の立場も悲しい。
自分の生活の合間で必死に父親の世話をし、忙しい中ようやく見つけたホームヘルパーに対して父親が次々と問題起こし、そのたびに対応で呼ばれるのも大変なのに、父親は自分のことを覚えていない時もあるのがあまりに痛ましい。
(でも誰かが悪いという訳でもないんですよね……)
娘役のオリヴィア・コールマンの演技も良くて、献身的に世話をしているのに報われない悲しさを痛切に感じました。
結末も考えさせられるもので余韻がある。
視聴後に、もしかしたら自分の両親がいずれ認知症になったら自分はどうするのかなとか、自分もいつかなってしまったらとか想像すると、色々と考えてしまう映画でしたね。
決してスッキリする映画ではないけれど、非常に見ごたえある作品だったので見て良かったです。
トゥルーノース
北朝鮮の強制収容所で生きる家族の姿を描いた3Dアニメ。
実際に収容された脱北者の方々に取材をして10年の歳月をかけて制作されたらしい。
北朝鮮の状況も、強制収容所の生活も中々知ることのない部分だけに、映画の中で描かれる状況があまりに過酷過ぎる現実で辛いわ……。
アニメーションだから多少表現がソフトになっているとはいえ、それでもあまりに不条理な現実で悲惨すぎる。
だけど、作品として見進めたくなる魅力もあって、最後まで見たくなる力がある。
絶望的で辛すぎる現実の中で心が荒んでいくなか、それでも希望をもって強く生きようとする人々の姿が眩しい。
映画に際して脚色も多少含まれているとは思うが、現実にこういう場所が存在するという事実が非常に心に残る映画でした。
彼女と彼女の猫 – Everything Flows -(完全版)
新海誠原作の短編アニメ。
30分ほどの短編映画でコンパクトな内容ながら、ほんのりとした切なさと暖かさが残る映画でした。
(猫のモノローグがぶんだんに盛り込まれている作風なのが新海監督っぽいなと思ったら、新海監督原作でした)
就職活動に追われる女性とその飼い猫の日々を描いた話で、就活が上手くいかず自分の将来に思い悩む様子が個人的に刺さり、なんとも胸にくるものがありました。
就活の時期っていろいろ考えちゃうよね……。
幼い頃から社会人になるまでずっと一緒にいた猫がご主人である女性を見守る視点が暖かく、だからこそ別れが切ない。
展開としては予想できるものでしたが、優しさや温かさがしっとり伝わってくる作品でした。
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